「基本的自尊感情」と「共有体験」

2ハウス、5ハウス、8ハウス、11ハウスは、「自己価値」に関するハウスと呼ばれています。
多くは生育過程において身につけた考え方や感情や行動のクセにともなって形成されていくものですが、では、大人になってから自己価値を高めていくのにはどうすればいいのかなぁと考えていました。
単に、褒められたり、認められたり、賞賛されたりしたからと言って、自己価値が上がっていくほど単純なものではないでしょう。
がんばって成果を上げて認められたとしても自己価値は上がらない。いったいこれは何なのか、どうすればいいのか。
そんなとき、こんな本に出会って目からうろこが落ちました。
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「幼児期から育む自尊感情-生きる力、乗り越える力」近藤卓 著、エイデル研究所、2015

「自尊感情」とは「セルフエスティーム(self-esteem)」と呼ばれ、一般的には達成したことを認められたり、褒められたりすることで育まれ、何か優れた結果を出して達成感を得ることを繰り返して、自尊感情は高まっていくというふうに言われています。
しかし著者は、「自尊感情」には「社会的自尊感情」と「基本的自尊感情」の2種類あると述べています。

「社会的自尊感情」とは、先の、褒められ認められることで育つ自尊感情。他者との比較により、「できることがある」「役に立つ」「価値がある」「人より優れている」と思うことで高まるもの。しかし、その場の状況や人の評価に左右されやすい不安定なものです。

一方「基本的自尊感情」とは、成功や優越とは無関係に、自分の良いところも悪いところもあるがままに受け入れ、自分を大切な存在として尊重するもの。「生きていていい」「このままでいい」「これ以上でも以下でもない」「自分は自分」と無理なく自然に思えるもの。
この基本的自尊感情こそ、不安定な社会的自尊感情を下でしっかり支え、挫折や困難を乗り越える原動力になるものだと語っています。

自尊感情には4つのタイプがあるそうです。
・社会的自尊感情も基本的自尊感情も大きく安定しているタイプ(何があっても大丈夫)
・社会的自尊感情が大きく肥大化し、基本的自尊感情が小さいタイプ(頑張り屋の良い子)
・基本的自尊感情がしっかり育ち、社会的自尊感情が低いタイプ(のんびり屋、うまくやる気を出せばどんどん伸びる子)
・社会的自尊感情も基本的自尊感情も低いタイプ(寂しくて孤独、自信がない)

ここまで読んでみると、
「社会的自尊感情」は南半球、「基本的自尊感情」は北半球の話と符合する感じですね。

「基本的自尊感情」を育てるには、「共有体験」が鍵になると著者は述べています。
信頼できる他者と五感を通じた体験を共にし、その場その場でともに感じあうこと。つまり「体験の共有」と「感情の共有」。
日常の何気ない共有体験を地道に重ねることで、一枚一枚薄い和紙を重ねて張り合わせていくように、しっかりした土台ができてくるそうです。
子どもの頃なら養育者との関係から作り上げられていくものでしょうけれど、大人になってからでも良く、日々の生活の中で身近な信頼できる人と体験を共有し、いっしょに喜んだり泣いたり、笑ったり苦しんだりという感情を共にしていくと育っていくようです。

北半球を育てる話のようですね。
基本的自尊感情は、共有体験を和紙のように一枚一枚重ねて育つものだから一足飛びではないけれども、一度貼ったらそう簡単には剥がれない強固なものになるそうです。
五感を通じた体験と、そこで引き起こされる感情を、他者と共有する体験を通じて「自分はこれでいいんだ」という確認をしていく。
現代人(子)はその経験が少なくなっていると書いてありますが、とてもうなずけるものだと思います。

まとめると、
「社会的自尊感情(南半球的)」は、自己効力感(挑戦し達成する)や自己有用感自己有能感(賞賛されたり認められたり)を高めることによって大きく育つ。
「基本的自尊感情(北半球的)」は、共有体験(体験の共有や感情の共有)を地道に積むことによって自己評価や自己肯定感や自己受容感が高まり育まれる(さらに基本的信頼関係や無条件の愛+無条件の禁止が必要←これらについては本をお読みください)。
※部活や仕事でのプロジェクトなど、この両方を同時に育てていくことも可能だそうです。

現代は南半球を強めることに人々の注目が偏りがちですが、同時に北半球を育てる機会も求めていきましょうか、というお話で締めくくります。

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