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「新解さん」と山田主幹さん

『新解さん』とは、三省堂『新明解国語辞典』の愛称です。
知る人ぞ知る、赤瀬川源平さんの『新解さんの謎』や、夏石鈴子さんの新解さんシリーズをお読みになっている方は、もう御存じ。

私もこのたび、数十年ぶりに国語辞典を買い換えました。
『新明解国語辞典』第六版。
早速、思うところあって、【ブドウ糖】を調べたところ、こんな一文が・・・・。
「ブドウなど熟した果実や蜂蜜などに多く含まれるグルコース。(以下略)」
こ、これは・・・・・(!)
もしかして、さりげなくギャグをかましたつもりなのでしょうか。
そうですこの例え、ブドウに限らず、モモだってリンゴだってミカンだっていいわけです。もっと言えば単に“熟した果実”だっていいわけです。
ブドウ糖の項目で、わざわざ“ブドウなど”とした新解さんのこのセンス。一発目からハートを射抜かれました。

さらに、思うところあって【北】を調べたところ、「東に向かった時、左の方角の称」
なので【東】を調べたところ、「春分の日の朝、太陽の出る方角の称」
【南】は「東に向かった時、右の方角の称」、【西】は「春分の日の夕方、太陽の沈む方角の称」
春分の日・・・・・まだしばらく先になりますね。確かめるのは・・・。

そんなこんなで、とても興味深い新明解国語辞典なのですが。


では、私のところにも相談の多い【恋愛】を、第六版の新解さんは何と言っているでしょうか。
【恋】「特定の異性に深い愛情を抱き、その存在が身近に感じられるときは、他のすべてを犠牲にしても惜しくないほどの満足感・充足感に酔って心が高揚する一方、破局を恐れての不安と焦燥に駆られる心的状態。」
【恋愛】「特定の異性に対して他のすべてを犠牲にしても悔い無いと思いこむような愛情を抱き、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になると言った状態に身を置くこと。」

そうですそうです、そうですね。これが恋愛です。

これが、同じ新解さんでも、第5版のものになると、
【恋愛】「特定の異性に特別の愛情を抱き、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感を得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて喚起したりする状態に身を置くこと」
だそうです。どちらかというと男性目線かな・・?

では、愛は?
【愛】「個人の立場や利害にとらわれず、広く身の周りのもの全ての存在価値を認め、最大限に尊重していきたいと願う、人間本来の温かな心情。」
【愛情】「(夫婦・親子・恋人などが)相手を自分にとってかけがえの無い存在としていとおしく思い、また相手からもそのように思われたいと願う、本能的な心情。」

つまり、自分だけの世界で一喜一憂するのは“恋”または“恋愛”ですが、“愛”もしくは“愛情”となると相手との関係性で成立するものだということがわかりました。ひとりで苦悶する恋愛も辛いですが、関係性がかみ合わない愛情というのも切ないものがありますね。
そういえば学生時代に「“愛”は寛容、慈悲に富むもの、妬まず誇らず高ぶらない」と習いました。愛というのは修業ですね。


では、そもそも“人間”とは何なのか、
【人間】「(もと、人と人との間柄の意)①(他の人間と共になんらかのかかわりを持ちながら社会を構成し、なにほどかの寄与をすることが期待されるものとしての)人。」

人間とは、書いて字のごとく、ひとりではないのですね。

【人間臭い】「②(聖人君子や人形とは違って)生身の人間のもつ情念がむき出しに伝わってくる様子だ。(飾らない気持や強い意志が現実に感じられる場合にも、のっぴきならないエゴ・欲望や愛憎の露呈する場合にも言われる)」

人間臭い人、いっぱいいますね。

【共存】「(異質のものが)衝突することなしに、同じ(一定の)場所で生存したり存在したりすること。」

人間臭さがあるかぎり、共存というのは永遠のテーマと言うことになりますか。

そして、また占いのテーマとして多いのが“人生”について。
【人生】「人間がこの世に生きていくことと、その生き方」
【人生経験】「人生の表街道を順調に歩んできた人にはとうてい分らない、実人生での波乱に富み、辛酸をなめ尽くした経験。」
【人生の達人】「盛んな時でもおごらず逆境にあってもくじけず、常に平常心を失うことなく、理想的な生き方をしている人。」
【平常心】「(緊張を強いられたり不安を感じたりするような状況に身を置いた際の)日常生活の延長に過ぎないと思っていられるような、冷静沈着な心理状態。」

恐れ入りました。人間臭さがある限り、平常心への道のりはほど遠いですね。かといって、無機質な人のそれとは違います。


【世の中】「①社会人として生きる個個の人間が、だれしもそこから逃げることのできない宿命を負わされているこの世。一般に、そこは複雑な人間関係がもたらす矛盾とか政治・経済の動きによる変化とかがみられ、許容しうる面と怒り・失望を抱かせる面とが混在するととらえられる。(第6版)」
(第5版では)「①同時代に属する広域を、複雑な人間模様が織り成すものととらえた語。愛し合う人と憎み合う人、成功者と失意・不遇の人とが構造上同居し、常に矛盾に満ちながら、一方には持ちつ持たれつの関係にある世間。」

【実社会】実際の社会。(美化・様式化されたものとは違って、複雑で、虚偽と欺瞞に満ち、毎日が試練の連続であるといえる、きびしい社会を指す)」

世知辛い(=生きていく上に、いろいろめんどうなことが多い)ですね。。。まぁなんとか頑張りましょう。

【励ます】「もっとファイトを出して事に当たるように言葉をかけたりする。」
【同情】「差し迫って困っている相手の苦しみ・悩みを、相手の立場に立って理解し、そのうちよい運がめぐってくることもあるのだからあまり悲観的にならないようにという気持ちを抱く(言動に表す)こと。」
【共感】「他人と同じような感情(考え)になること」
【理解】「物事に接して、それが何であるか(何を意味するか)正しく判断すること」

“同情よりも共感的理解を”と言われていますが(つまり客観的視点や巻き込まれない立ち位置)、新明解国語辞典では、“同情”の意味合いのほうが情が通っていて温かみがありますね。

【幸福】「現在(に至るまで)自分の境遇に十分な安らぎや精神的な充足感を覚え、あえてそれ以上を望もうとする気持ちを抱くこともなく、現状が持続して欲しいと思うこと(心の状態)」
【満足】「自分の思い通りの状態になっていて、これ以上注文のつけようのないように思われること。」

幸福や満足の持続時間はだいたいどのくらいなのでしょうか。腹が減ったり、あちこちに痛みがあったりすると、幸福度は急降下しそうです。
一瞬で現実に戻る人もいれば、2時間ぐらいはもつ人(胃が空になり血糖値が下がってお腹が空くのがこのくらい)もいるし、自己陶酔の強い人、妄想の強い人は、もうちょっと長持ちしそうですね。達観している人(=細かいつまらないことを超越して、物の本当になりゆく姿を見定める人)は、些末なことにはとらわれないから、幸福や満足は長続きしそうです。



ところで、
新明解国語辞典(特に4版5版あたり)の個性的な色合いのもとは、主幹である山田忠雄(故)さんだと言われています。
(新明解国語辞典の面白さの詳細は、赤瀬川源平さんや夏石鈴子さんの本をご覧ください。)

山田主幹さんのホロスコープを見てみました。
獅子座太陽に天王星(水瓶)がオポ。おぉ。オレ様(!)
【俺様】「偉大な力を持っているおれ。(他に対して自分の力をひけらかす時などに使う)」
実際に偉ぶっていたかどうかは分かりませんが、かなり独自路線を貫いて生きる方ですね。

月は午前中なら射手座、午後なら山羊座。上にいろいろ書いたように、哲学的な匂いのする語訳も多いので、月は射手座の人だったのかな・・と言う感じもしますが。

冥王星蟹座世代の山田さんですが、金星も蟹座で合、土星も蟹座。
新明解国語辞典は、日常よく使う言葉を引いてこそ面白い辞書です。言葉だけでなくそこに含まれる気持ちまで表現された説明と、用例の身近さ(草むしりする西郷さん、猫を抱く坂本龍馬など)は、まさに蟹座。
金星冥王星は火星とスクエアですので、恋愛の酸いも甘いもよく心得ています。

水星は獅子座29度。獅子座の最後の度数で、これから乙女座に入っていこうとする場所。辞書を作るという細かい作業に入るのにふさわしい場所ですね。
火の元素から地の元素へ移るというのは、“内面の精神性の高まりを、実際的な場の中で役立てたい”という変化を表します。
蟹座(金星)で培った集合的無意識や情操面を、独自路線の獅子座(太陽)で創造的に表現し、それを乙女座(水星)で辞書という形にする(仕事として展開する)、そしてずっと普遍的な言葉の使い方にこだわっていく(蟹座土星)という流れですね。
水星は、木星や月とグランドトラインを形成していますので、広く国民に支持されている辞書(仕事)だということが分かります。
新明解国語辞典は、山田主幹さんそのものであり、人生全てをかけて作られた辞書だということがわかりました。


ちなみに現在の主幹さんである柴田さんは、蟹座太陽、月乙女座。獅子座には水星海王星土星が入っています。
山田さんの志を引き継ぎつつ、より浸透しやすいように集合的無意識を解釈した内容になりそうですね。蟹座太陽さんなので、前版で飛び出し過ぎたものは(獅子座)、ひっぱり戻して躾しなおす感じはありますか。


新解さんの不思議さを書いた本の立役者は、夏石鈴子さんという方です(赤瀬川さんに依頼)。
夏石さんのホロスコープを見ると、新明解を初版から6版まで一文字ずつ全て、一生懸命猛烈に検証している様子がうかがえます。
(水瓶座太陽土星合、月火星(獅子)オポ、海王星(蠍)でTスクエア。)
水瓶座太陽土星の、オリジナルで真面目なもの=新明解国語辞典ということで、夏石さんのツボに命中し、獅子座月火星で、山田主幹さんの創造力や精神性にも共感でき、それを寝食忘れるかのように(満月、火星土星オポ)熱心に取り組みますが、そこに海王星のスクエアが来るので、行き過ぎた献身性(初版から6版まで一文字づつとか)や思いもよらない出来事(辞書の訳で面白いものがあったり)が人生を脚色していくという。
また、中学生のころ辞書(新解さん)を男子に貸したら、恥ずかしい文字に赤線を引かれて思わず読んでしまった(その内容が興味深いものだった)ということから全てが始まっているというエピソードもこの蠍座の海王星スクエアが表していますね。

やはり、怪しく不思議な要素を混ぜ込むのは、夏石さんの特徴のひとつです(自分でやらないと、外側から翻弄されるような出来事が)。でも太陽土星で、月火星オポなので、基本真面目で一生懸命。
(原稿執筆をお願いした赤瀬川さんも、プロフィールを調べると不思議な方ですし、そういえば、赤瀬川さんからSM嬢と呼ばれてもいました。海王星スクエア。)

今後、7版8版と出てきた時も、その解説本が読めるといいナと思います(楽しみにしています)。

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