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映画『悪人』 吉田修一さん

映画『悪人』の小説を読みました。
良かった・・・・。
これはすごいお話ですね。映画化争奪戦になるのもうなずけます。
「いったい誰が本当の“悪人”なのか」

原作の吉田修一さん(芥川賞作家)のホロスコープを見てみました。
乙女座木星太陽冥王星合で、双子座月リリスとスクエア。
その月は天秤座金星水星ドラゴンテイルとトライン。
獅子座火星は蠍座海王星とスクエア、牡羊座土星とトライン。
乙女座天王星はノーアス。
う~ん。こりゃすごい。
太陽は冥王星と木星に挟まれて王のごとく威風堂々としていますね。小説家として様々な人間模様を描くカリスマ的な作家さんであると言えます。芥川賞作家というのも納得ですね。
殺伐としがちな双子座月は穢れのリリスと合。恋愛や対人関係を表す天秤座金星水星は、悪縁や異端のドラゴンテイルと(ゆるく)合。
獅子座火星は蠍座海王星とスクエアで、性的な衝動や定まった尺度を持たない行動力。
『悪人』は、吉田さんの代表作ということですが、
出会い系サイトで知り合う男女、殺人事件、逃避行、子捨て、高齢者や日雇いの生活、底辺である庶民と勝ち組の青年との対比。加害者と被害者、と、吉田さんのホロスコープの全ての要素を出してきた作品であることが、よくわかりました。
吉田さん、蟹座にVtがあるのですよね。月や金星はリリスやドラゴンテイルで水商売っぽいところはあるものの、トラインですしね。獅子座火星も、海王星とスクエアで飲む打つ買う系の派手さはありますが、土星とトラインで黙々と忍耐する面も。
乙女座天王星ノーアスというのは、訴えかけたいテーマがあるということでしょうか。観察力の鋭い乙女座の天王星ですので、ハッとすることを投げかけます。(『悪人』では「大切な人はいるか?」ということでした。)
無茶苦茶な面(悪)とヒューマンな面(善)とがごった煮されているのは、吉田さんの大きな持ち味ですね。この作品にもよく現れていますし、後読感はなんともじんわりする温かいものがありました。

さて、話は変わりますが、主人公の妻夫木聡さんと、ヒロインの深津絵里さんのシナストリーを作ってみて、あっ!とびっくり。
妻夫木さんのノーアスの火星(山羊座)に、深津さんの太陽木星ドラゴンヘッド(山羊座)が乗ります。
妻夫木さん(祐一)は「情熱を傾ける目標を見つけた」とばかり、深津さんにどっとのめり込んで行ってしまうでしょう。と同時に、深津さん(光代)も「これこそ私の人生よ。この人を手放してはいけない(あのバスには乗らない)。」と思うはず。
また、妻夫木さんの水星に、深津さんの火星海王星合が乗ります。
深津さんの定尺を持たない行動が、妻夫木さんの思考を乱します。つまり、自首しようと思った祐一を、光代が引きとめて「逃げよう」と言ってしまうわけですね。
また、深津さんの水星に、妻夫木さんの木星土星合がスクエアでかかります。
光代にとって祐一との出会いは、良いことと悪いことが同時にやってくる混乱した苦しいものとなります(思考がうまく働かない。物語の結末で、光代が“ほんとうはどちらなんですか”みたいなことを記者に聞いているのは、このため)。
またこの妻夫木さんの木星土星は、深津さんの月冥王星オポラインにもかかっている(深津さんの冥王星と、妻夫木さんの木星土星が合)ので、この「良いことと悪いこと」というのは深津さんの私生活に限度なく食い込んでいくものです。
光代が事件に巻き込まれ、祐一とともにどこまでも逃避行してしまうわけですね。
一方、祐一が、被害者と加害者の関係において、きちんと自分の分を主張できなかったり、どうにかしようと思っているうちに衝動的な殺人を犯してしまったり、わざわざ自分から加害者の役割を果たしてしまったりするのは、ノーアスの火星に表れていると思います。
火星は防衛の役割も果たすので、うまく働かないと、濡れ衣をきせられてしまったりもするでしょう。でも、警察に捕まった時に、きちんと事の成り行きを説明していました(殺人に関してですが)。
深津さんが(妻夫木さんの火星に)太陽木星ドラゴンヘッドを乗せていますしね。自分の主張を通す自信をつけることができたのかなとか。
などなど、いろいろ見ていくと、
なぜ光代と祐一が逃亡生活をすることになったのか、深津さんと妻夫木さんのチャートから説明できて、ちょっとおもしろいなと思いました。


「いったい誰が本当の“悪人”なのか」
この小説、被害者と加害者の構図が入り乱れているので、それぞれ観る(読む)人の感情にヒットする人が“悪人”ということになりますが、
私は、あまりクローズアップされていない、“幼いころに祐一を捨てたにもかかわらず、いついかなる時も(祐一に対しても)被害者であろうとする母親”が、最も悪人であると思います。
増尾や佳乃というのは、悪人というより“世間一般とはそういうもの”の代表人物だっただけでしょう。
被害者と加害者の関係は複雑ですよね。
「ひどいことされた」と周囲を巻き込んで大騒ぎしている人の方が、あんがい加害者で、
ぐっと黙っている人の方が被害者だったりすることは、よくあることです。
特に、嫁姑や親子などの家族間では、ありがちなことなのですが、当事者やごく身近な人達は、巻き込まれてしまっていて、よく判別できないことが多いですね。

灯台で祐一を捨てた母、灯台に戻ってきた光代。
止まった時が動き出しで良かったな…と思いました。
映画公開が楽しみです。

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