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2019年5月

社会とつながるプロセス

備忘録です。

(占いとは違いますが、きっとこのブログにたどり着いた方には、多少興味があったりする内容では…)

今回のこのあたり内容は、受け入れられる人と受け入れられない人と、両方いるのではないかと思います。

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寛解してくると、今度は「社会復帰」が問題となる時期になる。

患者に就労を無理に押し付けるような支援は「あせり」「無理」に陥っていた状態への逆戻りを進めることになりかねない。

また、そのような支援が成功したかに見えても、せいぜいのところ社会の末端の仕事をあてがうのが精一杯であろう。

現在でもなお、精神科医療における自立観は、社会の多数派(マジョリティー)の生き方、価値観を身につけていくことに重点が置かれている。ソーシャルスキルトレーニングがひたすら社会適応の訓練としてもちいられ、その延長線上にジョブトレーニングが行われる。

患者に訓練を強いるのではなく、患者自身から自然に生まれてくる活動に目を向けてみると、思いがけないような仕方で社会とのつながりが回復されていくプロセスが見いだせる。

社会とつながるプロセスは、失われたものを取り戻そうと「あせり」に陥ることであってはならない。

「ゆとり」のなかで、新たな可能性をふくむ探索的な活動がはじまり、その多くがうまくいかなくても、いくつかの探索活動が次の探索活動の拠点となるというプロセスが連鎖していくことで、患者はおのずから社会のうちに根を張っていく。

このプロセスに医療者があまり深く関与しないことを勧めている。

それは、これらの探索活動が患者たちの「世界」(あるいは「宇宙」)の再建にかかわるものであるからである。

この「世界」は人から与えられるものであってはならず、患者自身が産み出したものでなけらばならない。

医療者がすべきことは、探索活動のための基地になることと、あるいは探索の補助的な役割を果たすことである。

『中井久夫との対話』村澤真保呂、村澤和多里 著

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